バッハ:管弦楽組曲 / コープマン, アムステルダム・バロック管弦楽団
2018.04.14 Saturday
自分がクラシックに入る決定的な足がかりになったのは、ここで指揮をしているコープマンのバッハだった。たまたまテレビで流れていたメロディに意識を持って行かれ、すぐに楽曲名を控えてはCDを注文した日のことをまだ覚えている。
バッハは曼荼羅。緻密なレース編みのように複雑に音が絡み合う。万華鏡のように、クルクルとメロディが回り、そしてパズルのピースが次々と適所にはまっていくような感覚。それが大雑把に捉えた、個人的なバッハという作曲家への解釈。
この上なく聴きやすい楽曲から、今でもチャレンジしても挫折する難曲までを作りつくしたバッハの中でも、よい意味での中庸なポジションにあるのが、この管弦楽組曲なのではないかと。故に、最も聴きやすいバッハでもあると。
アムステルダム・バロック管弦楽団の演奏も実に快活。トゥー・ファットに陥らない、楽器同士に隙間がある聴きやすさもまた、自分にとってバッハへの好印象を与える結果になっている。
いわゆる「G線上のアリア」で見られるような流れるメロディと、ティンパニと金管が快活な印象を与える演奏まで、流麗かつ緻密、そしてに繊細に組み立てられるここでのバッハは、コープマンが自分に与えたクラシックの原点を正しく提示しているように思われるのだ。
18世紀の最先端の音楽であっただろうバッハで、21世紀に生きる自分は頭の中のデフラグメンテーションを行う。クラシックはかように時間を飛び越えるジャンルなのかと、その生き残りの時間軸の積分を考えると、実に驚くべき事ではないかと。いや、クラシックの名曲と言われる作品は、時代の荒波に揉まれながらも、時に息を潜め、時に華やかにその時代の表舞台に出てくる、その繰り返しなのかもしれない。
そのように、音楽とは何かと思わず思いを馳せることを引き出す力があるのが、バッハがバッハであるゆえんなのだろうか。
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