ベートーヴェン:弦楽四重奏 / 東京クヮルテット

2018.07.07 Saturday

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    2つのヴァイオリンとヴィオラ、そしてチェロ。弦楽四重奏として奏でられるベートーヴェンは、どこか古楽的な薫りを漂わせていながらもスマートにモダン。

     

    オーケストラの箱庭とも言えるだろうこの構成には、骨格のガッシリとした交響曲を聴くのとはまた異なった、クラシックの楽しみがある。それはおそらく4つの楽器にまで削ぎ落とされたことによる、音の見通しの良さと、そして4つの楽器だからこそ音を複雑に絡み合わせることも出来る、意外な万能さから来ているのかもしれない。

     

    主役の存在が分かりやすいのも弦楽四重奏の妙。またそれと同時にアンサンブルが生み出す音世界も、マッチョな構成の交響曲とは異なる別種の「クラシックを聴いている気分」を十二分に味わえる。

     

    作曲家が主張したい旋律が、明確に浮き上がるのも弦楽四重奏の特徴か。いや、紡がれる旋律の全てに無駄がなく、どの音のラインも曲を構成する上で重要なパーツなのだとも教えてくれる。

     

    音のコントラスト、濃淡も実に豊か。単なる強弱とも異なるグラデーションが明瞭であり、そして当然の事ながら、構成される全ての楽器が弦楽器であるため、音として安定した響きが得られ、空間へと解き放たれた音が柔らかく耳に滑り込んでくる。

     

    室内楽という言葉から想像されるこぢんまりとした世界とは全く異なり、そこから紡ぎ出される音は芳醇の一言。オーケストラの演奏に少し疲れた耳に、優しく語りかけてくる世界がここにはある。本当にクラシックなる音楽の森は分け入っても分け入ってもまだまだ奥が深くて先が見えない。

     

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