ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》 / グルダ, シュタイン, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2018.06.09 Saturday
ベートーヴェンの交響曲をどこかイージーリスニング的に聴き流せるようになってきたら、次はピアノ協奏曲へ。交響曲の見本市的な楽曲群とはまた趣が異なり、ピアノと言う単体かつ雄弁な楽器が主役を張ることで、曲にある種の緊張感が生み出される。
ここで聴くことの出来るグルダの演奏は、リリカルかつダイナミクスあふれるもの。その振れ幅の大きさで、楽曲を雄大に歌い上げる。時にピアニストの性質に左右される神経質なまでに研ぎ澄まされた演奏ではなく、非常に滑らかな歌心を持った演奏であると言える。それは懐の広い、馥郁たる音そのものとしても感じ取ることが出来る。
ベートーヴェンの交響曲に共通する骨格の明確さと、単独で歌い上げるピアノとの組み合わせとが相まって、どこか扉を一つ開けたような爽快感まで覚えるほど。
自分がピアノ協奏曲に求めるものは、その爽快感に繋がるカタルシスであり、それを十二分に堪能出来る演奏がここにはある。
そしてもちろん忘れてはならないのは、ウィーン・フィルによる芳醇なオーケストラの響き。ピアノが主役になりがちなピアノ協奏曲にあって、ここではオーケストラもまた主人公であり、楽曲に対するお互いの解釈の高さが相乗効果につながり、演奏を高い次元に押し上げていることが手に取るように分かる。
ピアノとオーケストラのその両方の魅力をじっくりと味わいたい際に引き出す、解釈のしやすい名演として、常に手元に置いておきたい作品であることは間違いない。
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