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2018.09.17 Monday

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    ハイドン:ヴァイオリン協奏曲 / カルミニョーラ, シャンゼリゼ管弦楽団

    2018.07.15 Sunday

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      ディスクを再生させた瞬間に空気が変わる。18世紀の世界へようこそ。

       

      流麗という言葉では足りないほどにブリリアントな響きを聴かせてくれるヴァイオリンの調べと、軽妙な楽団のアンサンブル。初めて聴いた瞬間から耳をがっしりと持って行かれた美の中の美。

       

      ハイドンと言われても、あまり自分の印象には残らない交響曲が沢山ある程度の印象だったものが、このヴァイオリン協奏曲集を聴いてイメージが一転してしまった。「なんと美しくも甘く、そして凛とした旋律を描く作曲家なんだ!」と。

       

      それは弾き振りをするカルミニョーラのテクニックに寄るとことも大きいのかもしれない。いや、この響きにテクニックと言う単語はふさわしくない。譜面に描かれた設計図を音として立体化させる際に、何かの魔法をかけているかのごとく、その音をリアルなものとして伝えてくれる演奏家。

       

      そのヴァイオリンの響きには、耳に刺さる雑味が全く含まれておらず、甘い喉ごしの甘露のように耳に柔らかくもくすぐったく流れ込む。バロックの響きとはこう言うものなのかと改めて教えてくれるかのような、シンプルかつ歯切れのよい音の立て方。

       

      ついつい自分の興味が向きがちな大がかりな交響曲とは異なり、柔らかなその響きで気分を豊かにしてくれる演奏。クラシック音楽における「リッチ」さとは、何も音の塊だけを意味するのではなく、小さな空間に響き渡る音にも共通してある心地よさであると再認識した次第。巨大なダイヤモンドの煌めきもクラシックであるのならば、小さな真珠に反射する光もまたクラシック。これは思わぬ掘り出し物でありました。
       

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      (2018-06-20)

      ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 / アシュケナージ, ハイティンク, ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

      2018.06.30 Saturday

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        美なるものと甘さたるものは混在ではなく両立するものなのか。その二つの螺旋が組み合わされて作られる演奏は、美なるものなのか甘さたるものなのか。この音楽には、その禅問答への答えが十分に含まれている。

         

        悔しいことに、美を語るにおいて、自分の美に対する経験値はまだまだ少なすぎる。美しいと捉えることは出来たとしても、それは正面から投影した光に弾き出された像を見ているだけであって、同時に生み出されている陰影にまで目をやることはまだまだ難しい。

         

        それでも深い彫刻であれば、影を見出すことは辛うじて出来る、いや、出来ていると信じたい。その刻みの深さがアシュケナージのピアノによって浮き彫りにされる旋律であって、そこに光を当て、包み込むように柔らかく寄り添うのがオーケストラのふくよかな響きではないかと。それらは組み合わせではなく、あくまでも螺旋なのだ。

         

        その回転しながら進み行く様が、美であり甘さ、粋たるものと表現してもいい、を組み上げ、また音をつかさどるものではないかと。回転が進むにつれ二者は滑らかに融合し、決して分離することのない音像を描き出す。原子から引き出された糸は、また別の原子へと繋がり、そして強固たる分子を生み出して行く。それはたとえ強固であっても、音という柔軟な素材を使うことによって、形ある一つの楽曲として成立して行く。

         

        音楽なる芸術は全てが様々な音で繋がって行く。そのような当然のことを再発見させられるようなこの螺旋の彫刻は、甘美という単語を用いて、自分の耳の中へと柔らかく滑り込むのである。

         

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        ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》 / グルダ, シュタイン, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

        2018.06.09 Saturday

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          ベートーヴェンの交響曲をどこかイージーリスニング的に聴き流せるようになってきたら、次はピアノ協奏曲へ。交響曲の見本市的な楽曲群とはまた趣が異なり、ピアノと言う単体かつ雄弁な楽器が主役を張ることで、曲にある種の緊張感が生み出される。

           

          ここで聴くことの出来るグルダの演奏は、リリカルかつダイナミクスあふれるもの。その振れ幅の大きさで、楽曲を雄大に歌い上げる。時にピアニストの性質に左右される神経質なまでに研ぎ澄まされた演奏ではなく、非常に滑らかな歌心を持った演奏であると言える。それは懐の広い、馥郁たる音そのものとしても感じ取ることが出来る。

           

          ベートーヴェンの交響曲に共通する骨格の明確さと、単独で歌い上げるピアノとの組み合わせとが相まって、どこか扉を一つ開けたような爽快感まで覚えるほど。

           

          自分がピアノ協奏曲に求めるものは、その爽快感に繋がるカタルシスであり、それを十二分に堪能出来る演奏がここにはある。

           

          そしてもちろん忘れてはならないのは、ウィーン・フィルによる芳醇なオーケストラの響き。ピアノが主役になりがちなピアノ協奏曲にあって、ここではオーケストラもまた主人公であり、楽曲に対するお互いの解釈の高さが相乗効果につながり、演奏を高い次元に押し上げていることが手に取るように分かる。

           

          ピアノとオーケストラのその両方の魅力をじっくりと味わいたい際に引き出す、解釈のしやすい名演として、常に手元に置いておきたい作品であることは間違いない。

           

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