マーラー:交響曲第6番 / ヴァンスカ, ミネソタ管弦楽団

2018.03.17 Saturday

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    80分超えの大作。聴く際には適度に休憩を入れることをおすすめする次第。

     

    さて、マーラー。1911年没という近代の作家としては、相当に聴き応えのある、現代音楽に入る一歩手前で踏ん張ってクラシックの様式美なるものを継承した人物だと勝手に思いこんでいる。

     

    楽曲はジェットコースターのように多角多面に展開をし続ける。次に何が出てくるか全く予想できないジャックインザボックス的なところも、また聴いていて痛快。その滅茶苦茶なストーリー性が魅力的とも言える。

     

    しかし、かように時にロマンティックに、時にヒステリックにオーケストラが悲鳴を上げる譜面を書き綴ったあたり、マーラーなる人物は自分の精神状態に対して、非常に過敏かつ起伏も大きな作曲家だったのではないかと。

     

    自らの感情のおもむくままに浮かんできた音を、ジアゾ焼きの設計図のように全て譜面に書き殴り、それでいて交響曲としての破綻を来さないあたりに、自らを非常に冷静に見つめている作曲家本人の視線を感じ取らざるを得ない。感情の揺れ、ぶれ、と言った物を吐露しているかの如くなのが、その場面転換の切り替えの激しさにも繋がっているような。

     

    大作志向なこの作品は、音の揺れを作曲者の揺れとして心をのぞき込めてしまう、そのような後ろめたさすらおぼえるくらいに、神経を剥き出しにして作り上げた楽曲なのではないかと。

     

    今回下記に紹介する音源は、現時点でリリースされたばかりのヴァンスカ指揮、ミネソタ管弦楽団の演奏によるもの。清冽かつスクエアな音作りに魅力を感じている次第。もっと精神的に聴いていて辛いマーラーや、ライトなマーラーもあるけれども、ここで聴けるマーラーは美しさに振り切ったものであるように感じられる。

     

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    メンデルスゾーン:交響曲第4番《イタリア》/ アバド, ロンドン交響楽団

    2018.03.10 Saturday

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      タイトルに《イタリア》と入っているように、作曲家であるメンデルスゾーンが1830年代初頭にイタリアを訪れた際にインスパイアされて譜面を起こしたと言われている作品。

       

      音楽に印象派や写実派があるとすれば、この楽曲はその中間を取った作風と言えるのでは。旅の印象を譜面に書き下ろすという行為。そこから立ち上げられた音は、イタリアの風景画のように目の前に展開されていく。

       

      楽曲は全体を通して明るく、特に弦楽器が織りなすハーモニーによって、きめ細かな音世界が作られている。

       

      自分がクラシック音楽を聴く際には、建造物に例えてイメージを紐付けることがあるが、この楽曲は土台をしっかりと時間をかけて築き上げ、そして最後の最後(第4楽章)で一気に外観まで造り上げると言った印象を抱きながら聴くことが出来る。

       

      下に紹介しているロンドン交響楽団(LSO)による演奏は、ムースのように滑らかに譜面をなぞり、聴き手にどこまでもロマンティックなイタリアの描写を提供している。弦楽器とそして木管楽器が主導権を握り、スピードが上がったとしても何一つ破綻することなく、どこまでも楽譜にしっかりと食らいついていく様は、聴いていて痛快さをおぼえるほど。

       

      交響曲としては短く、30分にも満たない楽曲ではあるが、イタリア半島を巡る、丁度よいサイズの小旅行的作品とも言えるかもしれない。

       

      尺の短さ、滑らかさ、聴きやすさ、ロマンティックさ。クラシックの入門として持ってくるには、なかなかふさわしい楽曲ではないかと。

       

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      ベートーヴェン:交響曲第7番 / パーヴォ・ヤルヴィ, ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン

      2018.03.03 Saturday

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        「あ、明るい。そして軽い」

         

        それがこの楽曲、演奏の第一印象。それもそのはず、この曲の正式名称は『交響曲第7番 イ長調 作品92』。「長調」とは単純に語れば「明るい曲調」と言うこと。

         

        ベートーヴェンの交響曲と言えば「ジャジャジャジャーン」の第5番か、年末恒例の第9番が定番どころでしょうが、片やその印象的なフレーズだけが先行し、どうしてもそのイメージから抜け出すことが難しく、無理をして全曲を通して聴くと「やはりクラシックは難しい」と相対的に感じてしまうリスクがあります。

         

        また第9番は何と言っても長い。60分超えの大作ですから、あの有名な合唱のフレーズが入るまでが退屈に感じられてしまうという、やはりリスクがあります。

         

        その点、この楽曲、第7番はその2曲ほどの知名度はない代わりに、手軽にBGM的なクラシックの楽しみ方が出来る内容になっています。

         

        さて、ベートーヴェン。交響曲の礎を築いたと言えるこの作曲家の特徴は「メロディのある楽曲を作る」ことにあると思っています。そこで疑問に思われた方は正解。クラシックには「メロディと言えるメロディがあまり存在しない楽曲」も数多く存在します。それらに比較すると、ベートーヴェンは格段に聴きやすい存在と言えます。

         

        楽章毎の場面転換も明確で、どこか心躍る、いや、思わず身体も動き出してしまいそうなメロディがあちこちに登場します。それがこの曲をこのブログの最初の紹介に持ってきた理由の一つでもあります。

         

        オーケストラが演奏することの面白さは、曲の強弱、メリハリがクッキリと出ることにあると思っています。そのメリハリが生き生きと譜面に綴られ、それを立体的に描き出すことに成功している演奏が、下に紹介しているパーヴォ・ヤルヴィ指揮、ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン演奏によるものです。

         

        通常のオーケストラよりは一回り小さいこの楽団の演奏の面白さは、人数が少ないことによる楽器の見通しが非常に良く、楽器一つ一つが粒のように耳に飛び込んでくるところにあります。

         

        また、現代を代表する指揮者の一人でもあるパーヴォ・ヤルヴィの特徴は「生き生きとした演奏を作り上げる」ことにあります。楽曲にブリリアントな息吹を吹き込むことが上手い指揮者ですね。

         

        見通しの良い演奏、生き生きとした演奏、そして何よりもメロディがハッキリとしていることで、思わず口ずさみたくなってくる、ある意味「耳と心に喜びを与えてくれる楽曲」と表現してもいいでしょう。

         

        【ちょっとマニアックに】
        このディスクはSACD(Super Audio CD)なので、対応機で聴くことによって、録音の見通しの良さは格段にアップします。またレコーディングに使われたスタジオの残響音がより深く響き、人数が少な目のこのオーケストラに貧弱な印象を与えない効果もあります。

         

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